あえて聞く姿勢を作る

仕事を教えている時や、新しく何かを学ぶときに、「それ、知っています。」と口から言葉として発してしまう方がいますが、そばで見ていてドキドキします。と言いますか、正直申し上げると「非常にもったいない」と思うのは、私だけでしょうか。

「それ知っている」と発してしまうと、相手はそれ以上は言わないようにはなります、が、しかし、それでは、もしかしたら、もっとあなたにとって有益な情報や、アドバイスを得られたかもしれないのを、自分から拒絶しているのと同じです。

それに、「その話は興味がありません。」とか、「知っているから私はできます。」これらを相手に言ったり態度に表してしまうと、喧嘩売られているのかなとも受け取ることにもなり、大きな誤解が生まれます。

なぜ、そのように受け取ってしまうのかというと、人の話を遮断しようとするからに他なりません。それに、自分の容量(リミット)はここまでです。と宣言しているとも受け取ることができるからです。

自分の話を途中で遮られてしまい、私はもうあなたの話は聞く耳持っていません。このような、態度を取られてた方はどのように感じるでしょう。もう、二度とあなたにとって大事かもしれない情報や、こうしたら今よりも良くなるよ、などの話は聞けなくなります。

料理の世界はさらに厳しい

私が長年従事してきた、料理人の世界では「それ知っている」とか、適当に「ハイ、ハイ」と「ハイ」を2回以上続けて言うと相手に飽きられられるか、誰も相手にしなくなります。今はどうかは分かりませんが、高確率で殴られ蹴飛ばされます。

料理人の世界は上下関係が厳しい世界です。だいぶ、昔の職人気質の方は少なくなってきたとはいえ、まだまだ色濃く、伝統的な慣習などが残っています。そんな中。仕事を教えてもらう立場の人が「それ知っています。」と言ったら、どうでしょう。

相当、そのお店が、人手に困っていたら許容してもらえるかもしれませんが、二度と技術が要求される、高いレベルの仕事を教えてもらうこともできませんし、他の仕事も廻してもらえないか、どうせできると言われるからほっておこう。となります。

 

フランス人はもっと凄かった

世間ではよく話題に上がるので、あなたはご存知かもしれませんが、フランス人は自分のロジックが、他の国の方と比べてしっかりしていると、私は思っています。よく言われるのが、フランス人だけは皆が納得しているのに「最後まで自分の主張をしてくる」といわれ、一見、協調性がないように思われがちです。しかし、彼らには、彼らの流儀がありそれを貫いているだけなのです。

それは、私が、フランスで料理を修業している時に、苦い経験をしたのでよく覚えています。当時は、まだ現地フランスに来たばかりで、言葉が殆ど分からない状況でした。

かろうじて、話せた言葉は、今となっては恥ずかしいのですが「ボンジュール」これだけしか話せませんでした。そんな中、パリの17区にある、当時ミシュラン1つ星のレストランで働かせてもらうことになります。

そして、働いているキッチンでとても驚きます。キッチン内で話す言語は当然なのですが、すべてフランス語です。私は魚料理を担当していました。ある時、シェフが新しいメニューを考案して、下処理を私に話し出したのです。

一応、日本での私の経験は、事前に伝えているので、どのくらいの能力があるのか知っています。残念ながら、言葉はまだ話せませんが技術だけは持っています。

それに、お互いプロの端くれです。なので、具体的な工程を一緒に作業することはありません。言葉だけで料理の作り方や下処理などを話します。

当時は、フランス語が全くと言っていいほど話せないので、聞き覚えのある言葉だけ拾い上げ単語と単語を繋げて仕事をすることがやっとでした。

新しい料理を説明を聞いているうちに、聞き逃さないように気を使っているつもりが、話の途中で相手に答えを求められた時に適当に「ウィ・ダコー」(oui d’acoord)「分かりました。」と答えてしまったのです。

相手は、私が理解したと思ったことでしょう。その場を離れていきました。取り残された私はというと、何をしていいのか迷い、それが後に何も理解できていないことがシェフに見つかると、ものすごい剣幕で怒られたことを、今でも覚えています。

それ以来、どんな話をされても「知っている」とか、話の途中で“適当な返事”を返さないようになりました。

この話を読まれて、もしかしたら自分にも同じような傾向があるな、と思うならば意識して、気をつけたほうがいいでしょう。

それでも分かっているつもりでできないのが人間だと思っています。ちょっとしたコツをお教えしますので参考にして取り組まれたらどうでしょうか。

人の話を途中で遮る発言全般で「それ知っている」、「分かった」、などの言葉を言いそうになったら、グッと堪えて唾を飲み込むように、人の話をまずは聞く姿勢になったほうが、後々、あなたの話を話が終わった後にした時、相手によく聞いてもらえやすくなるものです。

これは私の経験から言えることですが、「人の話は最後の最後まで聞く」簡単なようでできない方が多いので、ぜひ、あなたは習得できるようになればいいですね。